先日2016年3月11日、慶應義塾大学と京都工芸繊維大学が次のような発表を行った。
PET(Polyethylene Terephthalate)を分解する細菌を発見し、そのメカニズムを解明したという。
この論文は雑誌SIENCEに掲載されている。(1
![](http://kininaru-kininaru.com/wp-content/uploads/2016/03/036_PET分解細菌-300x129.jpg)
プレスリリースより
これまであまり報告されていない分野である。
一例として、PET糸を含む無機培地上で成長することができる糸状菌の報告がある。(2,3
そもそもPETについてだが、
ご存じの通りペットボトルなど広く用いられており、
年間50,000,000t以上製造されているともいわれている。
生産数が多い一方、必然的に廃棄量も多くなる。
PETは安定で自然に分解されることはない。
そのためリサイクルが推進されている。
この現実に対し、PET分解細菌の発見は大きな可能性を秘めている。
生ごみを肥料に作り替えるように、
PETを高分子材料の原料に作り替えることができるのだ。
本報告ではエチレングリコールとテレフタル酸に分解するとあるが、
さらに最終的には水や二酸化炭素になるとも書かれている。
![](http://kininaru-kininaru.com/wp-content/uploads/2016/03/036_PET分解-300x294.jpg)
プレスリリースより
二酸化炭素は安定で役に立たないイメージがあるが、
ブタジエンとの重合により高分子材を作れることが報告されている(4
これが可能になれば石油の使用量も減らすことができ、
日本には有利なシステムになるといえるだろう。
高分子材料の脱石油はどのメーカーも願っているところだろう。
今後の発展に目が離せない。
1) Shosuke Y, et al. Schience 11; 1196-1199 (2016)
2) T. Nimchua, et al. Pisi. Biotechnol. J. 2; 361-364 (2007)
3) T. Nimchua, et al. J. Ind. Microbiol. Biot. 35; 843-850 (2008)
4) Nakano R, et al Nature Chem. 6; 325 (2014)
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