フッ素コーティング フライパンと諸刃の刃

製品の雑学
最近フライパンを購入した。
京セラのセラブリッドというモデルにしたのだが、これがなかなか良い。
かなり焦げ付くという先人たちのコメントを見るが、
“強火で使用しない”というルールを守れば今のところ焦げ付くことはない。
ちなみに表面をフッ素コーティングしたタイプもあるが、
私はあえてコーティングなしにした。
今日はその経緯について書く。
発端は先月、数年使用していたフッ素コーティング フライパンの
表面が剥がれだしたこと。
ご存じの通り、フッ素コーティングフライパンは
焦げ付きにくいメリットをもつ。
そもそもなぜ焦げ付くかというと、
①デンプンの糊化、②タンパク質の熱凝縮
によることが大きい。
 
      図:焦げ付きイメージ
 ①デンプンは50-60℃で加熱すると糊化(α-化)し、
   水分のある状態でさらに加熱を続けるとゲル化して急激に粘着度を増す(1。
 ②60-70℃でタンパク質が熱凝着する
   ※②に関しては調べても化学的な理由がよくわからなかった。
    70℃程度でコラーゲンが軟化し、ゼラチン化することで粘着が増してしまうと推測。
原因①②とも粘着が影響する。
すなわち表面エネルギーを下げれば防げるのである。
そこでフッ素樹脂が登場する。
 
      図:表面エネルギーの比較
一方で、フッ素樹脂には様々な毒性が確認されている。
ポリマーヒューム熱がその1つだ(2。
フッ素樹脂は230℃近辺から粒子、360℃を超えるとガスが発生するのだが、
そのガスを吸引することで
発熱や頭痛などインフルエンザに近い症状が出ることがわかっている。
360℃とはどれくらいのものか?
下グラフのような調査結果がある(3。
 
        図:フライパン底の温度
空焚きすると1~2分でフッ素樹脂からガスが発生するということである。
もうアウトである。
  ※この調査結果には200gの油を入れた状態では最高でも270℃というデータもある。
    使用上注意通り空焚きさえしなければ危険性はないだろう。
この調査結果に怯え
私はフッ素コーティングを諦めることにした。
それでも中火しか使えないので、
結局どちらを選んでも同じなのだが。
1) 中西載慶, et al.東京農業大学新・実学ジャーナル 74,9(2010)
2) 外山勝弘, et al. 日呼吸会誌 44(10),727(2006)
3) 独立行政法人 国民生活センター, IHクッキングヒーターの安全性と加熱性能(概要)(2006.5.10)

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