うろこ雲のアイランド状模様をつくる!

自然の雑学
 
最近急に気温が下がったが、空のうろこ雲がより秋らしさを表現している。
雲は上昇気流によりできるというが、
積乱雲のような塊ではなく、うろこ雲のような小さな塊が無数にできることが不思議だった。
どうやら、あの空模様はベナール対流で説明がつくようだ。
大気の対流は積雲対流と呼ばれるモデルで考えられる。
しかし放射冷却や水蒸気の動きを含み複雑であるため、
現実大気の対流を最も簡単化したベナール対流で考える。
地上から高さが違う場所には温度差(ΔT)が生じる。
これにより図1aのように上に向かう直線な熱の動きが生じる。
このときは熱伝導のみである。
しかしΔTが大きくなると熱伝導だけで調整しきれず、
図1bのように空気自身が移動する(すなわち対流が起こる)。
このような対流は、温度パラメータを含むレイリー数(Ra)が臨界レイリー数(理論値=1708)を超えた時に生じる。
また逆に大きくなりすぎる(10^8程度以上)と乱流となる。
  
話を雲に戻そう。
図1bのとき、上昇気流の上で雲が形成される。
渦はx方向だけでなくy方向(グラフ奥行方向)にも同様に広がるため、
平面上に丸い雲が周期的に発生するのである。
雲は10種類に大別されるが、上層のうろこ雲/さば雲/いわし雲、
中層の羊雲は似たような形をしている。
これらはおそらく同じメカニズムで発生し、
気温によって形状や高さが変わるのだろう。
 
Raが10^8程度になった時、この規則的な空気の流れは乱れ大きな雲の塊ができる。
代表的名なのは夏の風物詩である積乱雲である。
ちなみに、このベルーナ対流は物質のミクロな範囲でも生じ、そのメカニズムを研究もされている。(1
1) Hiroaki Uchiyama, et al. J. Phys. Chem. 116; 939-946 (2011)

驚くべき雲の科学 [ リチャード・ハンブリン ]

価格:2,160円
(2015/9/12 07:05時点)

タイトルとURLをコピーしました