リチウム右往左往

製品の雑学
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2015年ノーベル医学生理学賞に大村智 博士、また同物理学賞に梶田隆章 博士が選ばれた。
この2件に関してはメディアの報道も多く、
エバーメクチンやニュートリノに関しては気になって眠れなくはない。
二重否定なので書き直すと、気にならないので眠れる。
なんとなく文章として印象が悪いので書き直すと、
気にならないので眠れはする。
文章ってむつかしい。いつか二重否定について調べてみようと思う。
道がそれてしまった。今回は日本人の化学賞候補について。
それにはリチウムイオン電池の生みの親として
水島公一 博士、吉野彰 博士が有力候補として挙げられる。
リチウムイオン電池の歴史は水島博士の1979年の論文から始まる。(1
この論文ではLixCoO2(エネルギー密度 理論値1.11 kwh/kg)を使用した電池の可能性について報告されている。
ちなみに現在高いものでは約0.5kwh/kgである。

正極:LixCoO2
負極:Li

その技術を応用し、吉野彰らが1985年に炭素材料を負極に採用することを特許化した。(2
そして1991年、その特許を用いてSONYが世界初の商品化を成し遂げる。
近年主力プレーヤーは下のようになっている。
Panasonic (日)
Sony (日)
Samsung SDI (韓)
LG Chem. (韓)

市場も大きく広がり車載用途が白熱している。
ハイブリッド車ではトヨタに続き三菱重工やホンダも本格採用を進めており、
2013年にPanasonic製リチウムイオン電池がTeslaの電気自動車(2015/2/12記事)に
採用されたのが起爆剤となっていそうだ。
最後に原理についても簡単に載せておこう。
この反応式のシンプルさには美しさをも感じる。
しかし系を複雑にする副反応は絶対に起こる。
実際製品でこのシンプルな状態をいかに制御するかが難しいのだろう。
ノーベル化学賞も日本人が選ばれることに期待したい。
1) K. Mizushima, et al. Mater Res Bull. 15; 783-789 (1980)
2) 特許第1989293号(特公平4-24831号)

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